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保田 諭; Dio, W. A.*; 福谷 克之
Vacuum and Surface Science, 66(9), p.514 - 519, 2023/09
原子層材料の代表である単層グラフェンは、近年、水素イオンと重水素イオンを透過するだけでなく、これら水素同位体イオンの高い選択透過性を有することが知られている。このため、シリコン半導体、光ファイバー、創薬、核融合といった分野における水素同位体ガス濃縮材料としてグラフェンが利用できることが期待されている。しかしながら、その重要性にもかかわらず、実験研究は依然として不足しており、分離メカニズムについては未だ議論が続いている。本研究では、ヒドロンの量子トンネリングがどのように起こるかについての最近の発見を紹介する。
静間 俊行; 清水 良文*; 早川 岳人
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(11), p.1137 - 1141, 2002/11
被引用回数:4 パーセンタイル:29.25(Nuclear Science & Technology)遷移の禁止度の非常に大きな核異性体の崩壊について、量子トンネル効果を考慮した理論模型を用いて、遷移確率の系統的な研究を行なった。本研究では、われわれが観測した禁止遷移、及び、最近、他グループにより報告された禁止遷移について、実験値と理論値の比較分析を行なった。その結果、実験値と理論値の非常によい一致を得ることができ、量子トンネル効果による核異性体の崩壊メカニズムを明らかにした。さらに、質量数180領域の中性子過剰核に対して、量子トンネル効果によるK核異性体の波動関数の透過率の同位体依存性を調べた。その結果、陽子数66、中性子数104付近において、透過率が最も小さく、この付近の原子核において、核異性体の存在する可能性が大きいことがわかった。
黒崎 譲; 高柳 敏幸
Journal of Chemical Physics, 113(10), p.4060 - 4072, 2000/09
被引用回数:22 パーセンタイル:55.85(Chemistry, Physical)反応H+CHH+CH(1)及びこれを同位体置換した反応、HD+CHH+CHD(2), DH+CHD+CH(3),D+CHD+CHD(4),H+CDH+CHD(5)の反応速度定数を、トンネル補正を加えた変分的遷移状態理論により計算した。その結果、これらの反応に見られる同位体効果はほとんど一次同位体効果によるもので、二次同位体効果及び反応経路(IRC)の曲率の効果は比較的小さいことが明らかとなった。このことは、分子軌道計算からも明らかなように、これらの反応のポテンシャルが「early」であることに起因すると思われる。また、反応1と2の反応速度定数の計算結果は、実験結果とかなり良い一致を示した。
黒崎 譲*; 高柳 敏幸
Chemical Physics Letters, 299(1), p.57 - 63, 1999/00
被引用回数:15 パーセンタイル:43.56(Chemistry, Physical)反応CH+HCH+H(I)及びCD+HCDH+H(II)における異常な同位体効果について理論的に考察した。実験的には、固体パラ水素中でCHI(CDI)を光分解し、CH(CD)を生成させて5Kでしばらく放置すると、CHI/p-H系ではCHの生成は確認されなかったがCDI/p-H系ではCDHの生成が確認された。すなわち、反応Iは起こらないが反応IIは起こることが見出された。本理論計算では、この同位体効果を説明するために、反応I,IIの固有反応座標(IRC)を高精度の非経験的分子軌道法により求め、さらにIRCに直交する基準振動の振動数も計算し、反応途中でのゼロ点振動エネルギーの値も見積もった。その結果、従来の意味での同位体効果は予想通りほとんどないが、ゼロ点振動エネルギーを考慮したeffectiveなポテンシャルを比較すると、反応IIの方が反応Iより反応障壁が低く障壁の幅も小さいことが明らかとなった。このことは反応IIの方がトンネル確率が大きいことを意味しており、上の実験結果を良く説明している。
黒崎 譲; 高柳 敏幸
Journal of Chemical Physics, 111(23), p.10529 - 10536, 1999/00
被引用回数:13 パーセンタイル:39(Chemistry, Physical)反応H+HSHS+SHの速度定数を半古典多次元トンネリングによる補正を加えた変分的遷移状態理論により、100-2500Kの温度範囲で計算した。計算結果は広い温度範囲で実験値と一致した。特に室温付近での計算値と実験値の一致は極めて良好であった。本研究では、非経験的分子軌道計算によって得られたポテンシャルエネルギーを全く調整することなしに、反応速度の非アーレニウス的挙動を定量的に再現することができた。
熊田 高之; 北川 尚紀*; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 114(5-6), p.413 - 429, 1999/00
固体パラ水素中に生成したHアニオンは、固体水素の量子性を反映した非古典的減衰挙動を示す。本論文において、その減衰機構とそれに伴うHアニオンの量子拡散挙動を解明した。実験の結果、減衰速度が(1)Hやカチオンの濃度ではなくHDのそれに比例する、(2)添加したNeの量にも比例する、(3)3K以下では温度とともに正比例的に増加、3-5Kにおいては逆に減少、5K以上では指数関数的に増加することを新たに見いだした。これらはそれぞれ、(1)Hの減衰がカチオンとの中和やH原子への電子移行反応:H+HH+Hではなく、HDとの反応によること、(2)拡散種はHDではなくHであること、(3)3K以下、3-5Kの結果はそれぞれ、one-phonon relaxation,two-phonon assistを伴った量子拡散過程によりHが固体中を拡散していることを示している。特に3-5Kの温度依存性の逆転は、Meyerovich等が提唱するBiased Diffusionによるものであると思われる。
熊田 高之; 森 昇治*; 熊谷 純*; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Physical Chemistry A, 103(45), p.8966 - 8968, 1999/00
被引用回数:13 パーセンタイル:39(Chemistry, Physical)固体パラ水素(p-H)中に捕捉されたラジカル種のESRスペクトルは、マトリックス中の核スピンによる局所的な磁気摂動がないために、高感度、高分解能で測定される。われわれはこのような特徴を生かして、線照射した固体para-H-D(HD)混合系中に、高感度、高分解能のエレクトロンバブルのESRスペクトルを得ることに成功した。このエレクトロンバブルは、para-H中のD(HD)の濃度が大きいほど多くの収量が得られ、逆にこれらの同位体不純物を含まない純粋なpara-H中では観測されない。以上のことから、エレクトロンバブルは固体中のD(HD)が作るひずみにトラップされていると考えられる。また、減衰速度が温度にほとんど依存しないことから、量子力学的トンネリングにより拡散、消滅していることが示唆される。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*
Physical Chemistry Chemical Physics, 1, p.1099 - 1103, 1999/00
被引用回数:22 パーセンタイル:57.04(Chemistry, Physical)H…HFファン・デル・ワールス分子を赤外励起すると化学反応を起こす可能性があり、これを前期反応と呼ぶ。この過程についての理論的計算を行った。ポテンシャルエネルギー曲面として分子軌道法をもとに作製されたものを用い3次元の量子散乱計算から断面積を計算した。その結果、トンネル領域と共鳴位置で前期反応が効率よく起こることを見いだした。また、前期反応が実験的に見いだされるかどうかについて議論した。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*; 田池川 浩人*
Radiation Physics and Chemistry, 55(4), p.367 - 371, 1999/00
被引用回数:1 パーセンタイル:13.12(Chemistry, Physical)CCl分子のポテンシャルエネルギー曲面について分子軌道計算を行った。従来の研究結果で示されたイオンペアCCl…Clに相当する極小値は曲面上に存在しないことがわかった。すなわちイオンペア構造は最も安定なTd構造の異性体としては存在し得ない。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*
Journal of Chemical Physics, 109(20), p.8929 - 8934, 1998/11
被引用回数:51 パーセンタイル:82.84(Chemistry, Physical)F+H,D及びHD反応についてポテンシャルエネルギー曲面のファンデルワールス領域にできる擬束縛状態に相当する共鳴効果について検討した。この共鳴エネルギーが反応のトンネル領域にあると、反応確率が増大することを見い出した。また共鳴エネルギーはヤコビ座標を用いた1次元モデルで正確に計算することができることがわかった。
宮崎 哲郎*; 荒殿 保幸; 市川 恒樹*; 塩谷 優*
JAERI-Conf 98-014, 99 Pages, 1998/10
1998年8月3,4日に開催した、先端基礎研究センター主催の第4回低温化学セミナーのプロシーディングスである。トンネル反応の理論を中心に11件の講演がまとめられている。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*
Chemical Physics Letters, 286(1-2), p.35 - 39, 1998/04
被引用回数:32 パーセンタイル:70.02(Chemistry, Physical)F+H,D及びHD反応について、正確なポテンシャルエネルギー曲面を用いて3次元の反応性量子散乱計算を行い、反応確率を理論的に計算した。反応確率はしきい値付近で小さなピークをもつことを見出し、これはVan der Waals井戸に形成される共鳴状態との干渉効果であることをつきとめた。F+HD反応では特に低エネルギーでHF+Dを生成する確率がトンネル効果のために支配的であることがわかった。またVan der Waals共鳴を用いて化学反応をコントロールできる可能性があることも見出した。
熊田 高之; 荒殿 保幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Low Temperature Physics, 111(3-4), p.509 - 514, 1998/00
この論文はHアニオンの今までの成果をまとめたオートレビューである。一般の固定水素と比べ、パラ水素をアイソレーションマトリックスとして用いると、捕捉されたラジカルのESRスペクトルの分解能が大幅に改善される。われわれはこのパラ水素マトリックス中を用いHアニオンの観測に初めて成功した。またH分子とは逆に、このHは極低温でパラオルソ変換が起きていることが確認された。この逆方向の変換はH分子とHアニオン中のプロトンの交換に対する波動関数の対称性から説明される。
黒崎 譲*; 高柳 敏幸; 宮崎 哲郎*
Journal of Molecular Structure; THEOCHEM, 452, p.209 - 218, 1998/00
2,3-ジメチルブタンカチオン((CH)CHCH(CH),h-DMB)からのH脱離反応に対し、非経験的分子軌道計算を行った。構造最適化はUMP2/6-31G(d)レベルで行い、1点エネルギー計算をUMP3/6-31G(d)及びUMP4(SDTQ)/6-31G(d)レベルで行った。その結果、この反応は障壁が22-24kcal/molで26-29kcal/mol発熱的であることが予測された。非経験的分子軌道計算から得られたデータを用い、遷移状態理論に基づいて量子力学的(トンネル)効果を考慮した熱反応速度定数を求めると、h-DMBの反応の速度定数は77Kで約10sと予測された。h-DMBにおいて、脱離するHをDで置換したカチオン(d-DMB)の反応の速度定数は77Kで約10sと計算された。このことから、h-DMBからのH脱離反応にはトンネル効果が重要であることが示唆される。一方、h-DMBの反応速度定数に対する実測値は約12桁も大きい。これは量子化学計算のレベルがまだ低いことを示唆する。
田中 正俊*
JAERI-Research 97-019, 8 Pages, 1997/03
簡単な非線形ポテンシャルにおいて、入射フラックスがある限界値を越えた時、一意に決まらず多値になることを示した。安定性の検討によれば、透過モードのジャンプあるいはヒステリシス現象が起こりうる。
高柳 敏幸; 黒崎 譲*
Journal of Physical Chemistry A, 101(38), p.7098 - 7104, 1997/00
被引用回数:33 パーセンタイル:73.31(Chemistry, Physical)H+FHF+F反応のポテンシャルエネルギー曲面をCCSD/6-311G++(3DF,3DD)レベルの分子軌道法を用いて計算した。Saddle Pointは、共線的であり、バリヤーの高さは3.7Kcal/molと計算された。Saddle Pointの位置、ポテンシャルエネルギーの角度依存性、及びVan der Waals長距離ポテンシャル等の新しい曲面を構築するための重要な性質が得られた。これらのデータを基に新しいポテンシャル曲面を作製した。この新しい曲面を用いて反応速度定数を量子力学的な近似法を用いて計算した。その結果、Mu+F反応においてはVan der Waalsポテンシャルがトンネル効果に重要な役割をしていることを見出した。
田中 正俊*
JAERI-M 92-059, 19 Pages, 1992/05
ポテンシャル障壁V(x)に対するビーム透過率が求められたとする。入射ビームとパラメトリック共鳴する周期的なポテンシャルV(x)を入射側において、ビーム透過率を制御する可能性を検討した。V(x)として矩形ポテンシャル列をとった例で、これによる透過率の補正因子がK=(V/E)/21(Eは入射エネルギ)のオーダーになるばあいがあることを示す。V(x)の列の長さに関係して多項式的に補正因子が大きくなる例はまだ見出されていない。
宮崎 哲郎*; 藤谷 善照*; 柴田 真佐男*; 笛木 賢二*; 正木 信行; 荒殿 保幸; 佐伯 正克; 立川 圓造
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 65, p.735 - 738, 1992/03
被引用回数:4 パーセンタイル:34.61(Chemistry, Multidisciplinary)反跳トリチウム原子(T)の反応を、77Kと4.2KのXe-H-O混合系において研究した。T原子の反応が、77Kにおいて線線量率が非常に低い中性子照射により起きるとき、HTとDTの生成率において大きな同位体効果(k/k~7)を観測した。T原子の反応が、77K線線量率の高い中性子照射により起きるときは、HTとDTの生成率に同位体効果はなかった。(k/k~1)Xe-H-D混合系の線照射によるHおよびD原子生成を4.2Kで電子スピン共鳴分光により研究した。HTとDT生成に対する線線量率の重要な効果は、熱化したT原子のH(D)とのトンネル効果による引き抜き反応と線分解により生成したH(D)原子との結合反応の競争により説明される。
岩本 昭
New Trends in Nuclear Collective Dynamics, p.125 - 141, 1991/00
多次元空間でのトンネル効果を計算する基礎となる理論的手法を論じる。作用積分を極小化する径路の決定に関する新研究が最初に示される。次に断熱近似の定義及びその有効性が議論される。核分裂の寿命計算の応用例が示され、さらに今後に残されている理論的課題が最後に論じられる。
荒殿 保幸; 立川 圓造; 宮崎 哲郎*; 長屋 重夫*; 藤谷 義照*; 笛木 賢二*
J.Phys.Chem., 87(7), p.1201 - 1204, 1983/00
77K固体Xe-CH-CD系での反跳トリチウム原子による水素引抜き反応を調べた。水素引抜反応の同位体効果の値は(CH+CD)が10モル%以上では約1.4であるのに対し10モル%以下では次第に増加し0.2モル%では3.5~6となる。この値はガス相でのホットトリチウム原子による水素引抜反応の同位体効果の値1.3にくらべきわめて大きい。放射線分解により生成するH,D原子の場合との比較から、この結果は熱トリチウム原子によるトンネル効果に帰因することを示した。